
鹿島神宮の奥宮は、本宮から少し離れた静かな森の中に佇む神秘的な社殿です。
この記事では、鹿島神宮奥宮の御祭神、歴史、ご利益、参拝方法など、知っておきたい基本情報から、参拝の際に役立つ豆知識までを詳しくご紹介します。
鹿島神宮 奥宮とは
鹿島神宮奥宮は、茨城県鹿嶋市にある鹿島神宮の境内にある重要な摂社です。本宮から約500メートルほどの場所に位置し、鬱蒼とした森の中に静かに鎮座しています。
武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)の荒魂(あらみたま)が祀られており、本宮とは異なる神格を有する神聖な場所として信仰を集めています。
奥宮の社殿は国の重要文化財に指定されており、江戸時代初期の建築様式を今に伝える貴重な文化財です。徳川家康が奉納した社殿が移築されたという歴史を持ち、質素ながらも力強い建築美が特徴です。
御祭神とご利益
御祭神:武甕槌大神の荒魂
鹿島神宮奥宮の御祭神は、武甕槌大神の荒魂です。武甕槌大神は鹿島神宮本宮の御祭神でもありますが、奥宮ではその「荒魂」が祀られています。
神道において、神様には「和魂(にぎみたま)」と「荒魂」の二つの側面があると考えられています。和魂が穏やかで平和的な側面を表すのに対し、荒魂は力強く勇猛な側面を表します。つまり、奥宮では武甕槌大神のより力強い御神徳を拝することができるのです。
主なご利益
- 武道・スポーツの上達:武の神としての御神徳
- 勝負運の向上:決断力と勝利のご利益
- 厄除け・魔除け:荒魂の強い力による
- 心身の強化:精神力を高めたい人に
- 新しい挑戦の成功:困難に打ち勝つ力を授かる
特に武道家やスポーツ選手の参拝が多く、試合前や大事な勝負前に祈願に訪れる人も少なくありません。
歴史と由緒
鹿島神宮奥宮の歴史は古く、その起源は平安時代まで遡ると言われています。しかし、現在の社殿は江戸時代初期のもので、徳川家康が奉納したものが移築されたと伝えられています。
現在の社殿は、慶長10年(1605)に徳川家康が関ヶ原戦勝の御礼に現在の本殿の位置に本宮として奉納したものを、その14年後に新たな社殿を建てるにあたりこの位置に遷してきたものです。
引用元:鹿島神宮
社殿は「三間社流造」という建築様式で、屋根は桧皮葺(ひわだぶき)となっています。この建築様式は江戸時代初期の特徴をよく表しており、建築史的にも大変貴重なものとして、国の重要文化財に指定されました。
参拝情報
参拝時間
鹿島神宮奥宮の参拝時間は、鹿島神宮の境内に準じています。
- 通常時:日の出から日没まで
- 1月1日(元旦):終日参拝可能(初詣対応)
季節によって日の出・日没の時間が変動するため、特に冬季は早めの参拝を心がけると良いでしょう。
所要時間
本宮から奥宮までの往復を含めた所要時間の目安は以下の通りです。
- 本宮から奥宮まで徒歩:約10-15分(道中は森の中の参道で、ゆっくり歩いて楽しむのもおすすめ)
- 奥宮での参拝時間:5分
- 合計:30分~1時間程度
時間に余裕がある場合は、周辺の要石や御手洗池なども合わせて巡ると、より深く鹿島神宮の魅力を感じることができます。
奥宮の見どころと参拝のポイント
社殿の建築美
奥宮の社殿は、先述の通り国の重要文化財に指定されています。三間社流造というシンプルながらも力強い建築様式は、武の神を祀るにふさわしい風格があります。社殿の細部には、江戸時代初期の匠の技が光り、特に屋根の桧皮葺は見事です。
参拝の際には、ぜひ社殿の建築細部にも注目してみてください。質素ながらも神聖な空気が漂い、厳かな気持ちになれるはずです。
静謐な雰囲気
本宮が多くの参拝客でにぎわうのに対し、奥宮はひっそりと静かな雰囲気に包まれています。森の中にたたずむ社殿は、神秘的なエネルギーに満ちており、心を落ち着けて祈りを捧げるのに最適な環境です。
パワースポットとしても人気で、特に「気」を感じやすい場所として、スピリチュアルに関心のある人々からも注目されています。
奥宮と本宮の違い
鹿島神宮を参拝する際に気になるのが、奥宮と本宮の違いです。両者の主な違いをまとめました。
項目 | 本宮 | 奥宮 |
---|---|---|
御祭神 | 武甕槌大神(和魂) | 武甕槌大神(荒魂) |
雰囲気 | にぎやかで開放的な雰囲気 | 静かで神秘的な雰囲気 |
社殿の規模 | 大きく立派な社殿 | こぢんまりとした重要文化財の社殿 |
参拝者数 | 多い(特に初詣時期) | 比較的少ない |
ご利益 | 一般的な開運・厄除け | 武道・勝負運・決断力 |
両方参拝することで、武甕槌大神の両面からの御神徳をいただくことができると考えられています。時間があれば、ぜひ両方参拝することをおすすめします。
季節ごとの見どころ
鹿島神宮奥宮は一年を通して美しいですが、特に季節ごとの見どころを紹介します。
春(3月-5月)
- 参道沿いに咲く桜が美しい
- 新緑の季節で、清々しい空気を感じられる
- 5月頃には若葉の香りが心地よい
夏(6月-8月)
- 緑濃い森が涼しい木陰を提供
- 蝉時雨の中の参拝は風情がある
- 暑い日でも森の中は比較的過ごしやすい
秋(9月-11月)
- 紅葉の季節は特に美しい
- 参道が赤や黄色に染まる
- 11月下旬が見頃のピーク
冬(12月-2月)
- 静寂に包まれた冬の森は神秘的
- 雪が積もると幻想的な風景に
- 正月の初詣客でにぎわう
どの季節にもそれぞれの魅力がありますが、特に紅葉の時期と新緑の時期は、自然の美しさを存分に楽しむことができます。
参拝のマナーと注意点
鹿島神宮奥宮を参拝する際に知っておきたいマナーと注意点をご紹介します。
基本的な参拝マナー
- 服装:特に厳格な決まりはないが、露出の多い服装は避ける
- 静粛:静かな雰囲気を保つよう心がける
- 写真撮影:社殿の外観は撮影可能だが、マナーを守って
- ゴミ:必ず持ち帰るか、指定場所に捨てる
注意点
- 森の中の参道のため、雨の日は足元が滑りやすい
- 夕方や早朝は暗くなりやすいので、懐中電灯があると安心
- 野生動物(鹿など)に出会うこともあるので、刺激しない
- トイレは本宮か御手洗池の近くにしかないので、事前に済ませておく
あわせて巡りたい鹿島神宮の有名スポット:「要石」と「御手洗池」
要石
奥宮へ向かう参道をさらに右奥に進むと、有名な「要石(かなめいし)」があります。この石は地中深くまで続いているとされ、地震を鎮める要(かなめ)となっているという伝説があります。
要石は地上に出ている部分がわずかで、その大きさからは想像できないほど地中深くまで続いていると言われています。奥宮参拝の際には、ぜひこの要石にも立ち寄り、地震除けの祈りを捧げると良いでしょう。
御手洗池(みたらしいけ)
奥宮へ向かう参道をさらに左奥に進むと、「御手洗池」と呼ばれる神聖な池があります。この池の水は古くから禊(みそぎ)に使われてきたとされ、現在でも清らかな水をたたえています。
池の周辺はさらに静かな雰囲気で、自然のエネルギーを強く感じることができます。時間に余裕があれば、こちらも訪れてみることをおすすめします。
まとめ
鹿島神宮奥宮は、本宮とは異なる静かで神秘的な雰囲気が魅力の場所です。武甕槌大神の荒魂を祀るこの社殿は、武道やスポーツの上達、勝負運の向上など、特に「強さ」に関連するご利益で知られています。
国の重要文化財に指定された社殿の建築美、森の中の静謐な空気、要石・御手洗池など、見どころも多く、鹿島神宮参拝の際にはぜひ訪れたいスポットです。
本宮と奥宮の両方を参拝することで、武甕槌大神の和魂と荒魂、両方の御神徳をいただくことができます。時間に余裕を持って訪れ、ゆっくりと神聖な空気を感じながら参拝するのがおすすめです。